3度目に、君を好きになったとき

村上さんも先輩に憧れているのか、胸の前で祈るように手を組み合わせ、目を輝かせながらすり寄っていく。


「意外ですー。先輩なら一人の人をずっと大事にしそうなのに」

「そうだね、そうしたい所だけど。付き合っても、すぐに振られてしまうんだ」


柏木先輩は苦く笑い、肩をすくめた。


「もっと意外……。先輩を振る人がこの世にいるんですね」

「優柔不断だからかな。本当は中学のときに片想いをしていた子がいて。その子と彼女を無意識のうちに比べてしまっていたのが、よくなかったのかもしれない。彼女をその子以上に好きになれなくて、それを見抜かれていたのかな」


(中学のときに、片想い……?)


胸の奥がズキリと痛む。


「その子のこと、今でも忘れてないってことですか?」

「うん……。中3のとき、すでに振られてるんだけどね。告白したけど駄目だった」


(……なんて悲しい話なんだろう)


まるで、以前見た夢と同じような展開だ。

寂しげな先輩の横顔を見ていると切なすぎて胸が締めつけられる。
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