3度目に、君を好きになったとき

片想いの相手を、そんなにも大切に想い続けているなんて。
顔も知らないその子のことが羨ましく思えた。

勝ち目がなさすぎて、悲しくなる。



――それにしても、いつの間にあの彼女と別れていたんだろう。

柏木先輩に憧れている私は、先輩に彼女がいると知って、それ以上好きにならないよう諦めたというのに。


といっても、私には関係のない話。

たとえ彼女がいなくても、先輩と対等に付き合えるような立場ではないのだから。



「で、先輩。その、今でも忘れられない人って。この学校にいるんですか?」


どこまでも直球な村上さん。

物怖じしないで、自分の聞きたいことを聞く。

私にはない勇気が、少し羨ましい。


「……それは、言えない」

「えーっ、教えてくれないんですかー」


さすがに何でも打ち明けてくれるわけではないようで。

もうこの話はおしまいだと、苦笑いをした柏木先輩は村上さんへ席に戻るよう促した。


そのとき――。

ちょうどこちらを向いた先輩と視線が絡み……、なぜだか私は泣きたくなった。

先輩の瞳の奥が、涙で濡れているみたいに思えたから。

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