3度目に、君を好きになったとき
お互い、インテリア雑誌を読んで時間を潰していたら、すぐにケーキが運ばれてくる。
「わぁ、可愛い。美味しそう」
レアチーズケーキの方にはお皿にベリーのソースで模様が描かれていて思わず声を上げる。
そんな私に気を遣ったのか、先輩は自分のお皿をこちらに寄せてきた。
ケーキを分けてくれるつもりらしい。
「こっちも食べてみていいよ」
「……いいんですか? じゃあ、いただきます」
私は遠慮がちに先輩のお皿に乗ったベイクドチーズケーキを、フォークでほんの欠片ほど掬った。
「そんな少しで味わかる?」
小さく笑った先輩は、まだ使っていない自分のフォークで、一口大に切り分けたケーキを私の口元に持ってくる。
「ほんとに……遠慮深いところは中学のときから変わってないね」
笑顔の圧力を感じ、私は仕方なく唇を開けた。
なるべくフォークに唇が触れないようにしてケーキを口に含む。
チーズの濃厚な味が広がる。
恥ずかしさで頬が上気しているのがわかり、水を飲んで誤魔化した。