3度目に、君を好きになったとき
「迷惑でないなら、一緒にいたいです」
ひたむきな瞳が自分に向けられ、心が騒ぎ出す。
立ち止まった橋の上で、彼女を独り占めしたいという気持ちが湧き起こる。
「先輩の絵が好きだから。もっとたくさん、先輩のことを知りたい」
「白坂さん……」
あまり、無防備に言葉を発しないで欲しい。
家に連れ帰りたくなる。
「あっ、違うんです、変な意味じゃなくて、」
急に慌て出した彼女は後ずさりを始める。
すると後方から歩いてきた男に接触しそうになったので、急いで彼女の腕を引いた。
伯王高校の制服を着たその男は──真鳥朔哉だった。
白坂さんは自分の足に引っ掛かったのか、バランスを崩しこちらに倒れ込んできた。
柔らかな体がぶつかり、一瞬思考が止まる。
「わっ。ごめんなさい!」
真っ赤になった彼女は、慌てて離れようとした。
花のような甘い香りが降りかかり、本能のまま彼女のことを片腕で抱き寄せる。
しかし真鳥は、ちらっとこちらへ視線を流しただけで、表情一つ変えず自分たちを追い越していった。