3度目に、君を好きになったとき
隣に並んだ先輩は、ふと何かに気づいたように私のことをじっと見つめてくる。
「あれ? 白坂さん、髪の毛はねてる」
「えっ、寝癖?」
慌てて髪に手をやると、偶然先輩の手に触れてしまい、さらに慌てる。
ちょうど先輩も、私の髪に手を伸ばしていたのだった。
「わ……、すみません」
「ちょっとごめんね」
軽く断りを入れた先輩は、何を思ったのか私の後ろの髪を数回すいて、はねている部分をわざわざ直してくれた。
「もう大丈夫だよ」
「ありがとうございます……」
触れられたことが恥ずかしくて、下を向く。
癖のあるセミロングの髪が顔の横に垂れ、私の表情を隠してくれた。
少しの間、学校までの道を一緒に歩くことになり、話題はほとんど部活のことについてだった。
それでも私にとっては特別な時間。
「蓮、おはよう」
校舎が見えてきたとき。門の前で人を待っている様子の女子生徒が柏木先輩に声をかけ、小さく手を振った。
「――じゃあ、また放課後に」
先輩は私にそう告げ、その女の人と一緒に歩き出す。
「あ、……はい」