3度目に、君を好きになったとき
2.雨空に焦がれて


次の授業のため音楽室へ行こうとしたとき、廊下の向こうから神々しいオーラを放って悠然と歩く一人の男子生徒の姿が見えた。


生徒会長の、藤川先輩だ。

背も高いしスタイルが良いので、本人にそのつもりはなくとも嫌でも目立つ。


目があってはいけないと思った私は若干下を向き、教科書を抱きしめ廊下の端の方を歩いた。

積極的な女子は、廊下の窓からキラキラと降り注ぐ太陽光を浴びた彼を、じっと熱い目差しで見つめている。


いい香りまで漂ってきそうな藤川先輩とすれ違いかけたとき。

なぜか彼はちょうど斜め前で立ち止まり、私のことを見下ろしてきた。


突然の事態にパニックになる私。
冷や汗までもが出そうになってくる。

彼のような人が私に用事などあるわけがない。

お辞儀をしてそのまま去ろうとしたのに、藤川先輩の手が私の二の腕を掴んだ。


「ちょっと待って」


低めの甘い声が耳をくすぐる。

軽く腰をかがめ、私の顔を検品するかのようにじっくりと眺めてくる。
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