3度目に、君を好きになったとき

間近で見た藤川先輩は、柔らかく微笑みながらも鋭い目尻が特徴的な、冷たくて近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。

例えば。表の顔は真面目で優しいけれど、心の底では残酷なことを密かに企んでいる、腹黒なタイプに思えた。


「ねえ、君。生徒会に興味ある?」

「え……?」


あくまで相手を怖がらせないためか、柔らかく喋りかける生徒会長。

でもあいにく、私は生徒会に興味はない。美術部のことで精一杯だから。


「良かったら、一緒に生徒会やらない? 人手不足で困ってるんだ」

「えっと、あの……私は……」


どうやって穏便に断ろうか、考えを巡らせていたとき。


「藤川。白坂さんに何の用?」


背後から声がかかり、振り向くと斜め後ろの位置に柏木先輩が立っていた。


「……その手、離してくれる?」


ゆっくりとした低い声がさらに近づき、藤川先輩に掴まれていた腕はその声により自然と緩む。

その隙に柏木先輩が私の手首を引き、藤川先輩との距離が開いた。

バランスを崩した私の体は、微かに柏木先輩の制服に触れ、ドキリとする。
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