3度目に、君を好きになったとき
姿勢の良い後ろ姿を見送りながらも、肩に置かれた手の温もりを意識して平常心でいられない私。
生徒会長の姿が見えなくなったと同時に、柏木先輩がさりげなく体を離し、私たちは向かい合う形になる。
険悪だった雰囲気が消え、いつもの優しい先輩に戻ってくれていた。
「――あの。柏木先輩、ありがとうございました」
「白坂さんて……隙がありすぎだから、気をつけてね。いろんな男に狙われそうで心配だな」
眉を悲しげに下げた柏木先輩は小さく息をつく。
「……すみません」
「でも、間に合って良かった。藤川のものになるんじゃないかと焦ったから」
「えっ?」
先輩が、焦った……?
「藤川に言い寄られているみたいに見えたし、断り切れずに承諾したらどうしようかと思って」
それは、どういう意味なのか……。
私の考えているとおりなら嬉しいけれど、そうでなく、ただの勘違いなら恥ずかしすぎる。