3度目に、君を好きになったとき
未琴からの誘いに、どう返したらいいものかと逡巡する。
好きな人ができたのだから、もう真鳥を紹介してもらわなくてもいい。
でも、無下に断っても気を悪くしてしまうだろうし。
「えっとね、未琴。私、実は……好きな人ができちゃって」
だから真鳥達と一緒に出かけるのはできないと、遠回しに断ってみた。
「えっ、もう好きな人できたの? だれだれ? 私の知ってる人?」
未琴は目をキラキラさせて、身を乗り出す。
「二年の先輩、だよ」
「……え? それって、」
眉をひそめた未琴が何かを言いかけたとき、また歓声が上がった。今度は女子のバレーの方からだ。
かなりの接戦で、たった今華麗にアタックを決めたのが、隣のクラスの椎名緋彩さん。
誰も彼女の速い球を受けることはできなかった様子で、呆然と見送っている。
椎名さんは背が高く、スポーツ万能。
ボーイッシュな容姿で王子様みたいな雰囲気があり、女の子から絶大な人気を誇っていた。