3度目に、君を好きになったとき

ほら、やっぱり今朝のはただの夢だった。私の勝手な妄想。

先輩には、美人で優しい彼女がいる。


確か中学のときからその彼女と仲が良くて。私の入り込む隙なんて、どこにもない……。


しかも、夢では私が先輩を振ったとか。そんなことが起こり得るわけがなかった。

たとえば、罰ゲームとして先輩が告白してきたのだとしても。私は即座にOKするはず。


ずっとずっと、出会ったときから大好きな先輩なのだから。


(先輩が彼女よりも、私のことを好きになってくれるなんて――そんな夢みたいなこと、現実に起こるわけないよね……)



門のそばで咲く桜が散っていく姿を、二人は仲が良さそうに眺めている。

そんな二人の後ろ姿を視界の隅に置き、私は密かな想いを心の奥底に閉じ込めた。


< 5 / 182 >

この作品をシェア

pagetop