3度目に、君を好きになったとき

「てっきり、何年も前からあいつのこと好きなのかと思い込んでたわ。白坂、いつもあいつを目で追ってたから」

「……そ、それはきっと、先輩の絵に憧れてただけで。それほど特別な気持ちはなかったのかな、と思います」


恥ずかしい……。
よりによって千尋先輩にそんな風に見られていたなんて。


「そうか? それにしてはお前、ずっと悩んでたみたいだったけど」

「悩んでた?」

「一回、俺に泣きついてきたことあっただろ」

「へ……?」


予想外の言葉にポカンと口を開ける。


天敵とでも言うべき千尋先輩に、私が泣きついた?

一体、何があってそんな状況に追い込まれたのだろう。不思議で仕方がない。


「えっと。いつのことでしたか?」

「お前、いくらなんでも忘れすぎ。俺がせっかく相談に乗ってやったのに」


呆れた目つきの千尋先輩が、私の頭を乱暴に撫でてきて、元々癖のある髪がぐちゃぐちゃに乱される。



「――千尋」


髪を直していたら突然低い声がかかり、びくりと動きを止めた。
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