3度目に、君を好きになったとき
未琴は情報を聞き出すのが上手い。
私には高度な会話力がないので到底無理だと思う。
大人でも同級生でも、誰とでも仲良くなれる未琴が羨ましかった。
「同じクラスに決まった記念に、春休みに皆でどこか遠くに出かけない?」
「うん、いいね」
「動物園とかどう?」
動物園……、そういえば柏木先輩に誘われていたんだった。
横目で様子を窺うと、先輩も私のことを見ていて目が合ってしまった。
「柏木先輩も、一緒に行きますよね?」
未琴の誘いに先輩はゆっくりとうなずいた。
「白坂さんが行くなら、僕も参加したいな」
私が、行くなら……。
柏木先輩の言葉を嬉しく思いながらも、顔に出ないように唇を引きしめる。
「ちょうど、白坂さんと絵の題材を見つけるために、どこかに出かけようかと思っていたところなんだ」
「じゃあ、決まりですね。千尋先輩ももちろん行くでしょ?」
なぜか未琴は決定事項のように千尋先輩へ確認する。
「いや、俺は特に参加する理由は……」
千尋先輩が冷たく断りかけた瞬間、未琴はニヤリと目を細めた。