3度目に、君を好きになったとき

そのとき……

視界の隅に、こちらを睨みつける気配があり、頬を強張らせた。


色とりどりの傘の隙間から、沢本君の射るような目が私へ向けられている。


思わず柏木先輩の袖を掴み、隠れるように身を寄せた。


「……どうかした?」


怪訝そうに尋ねる先輩の手が、私の手に重なった瞬間――――


フラッシュバックしたみたいに、頭の中に勢いよく映像が流れ込んできた。




どこかの天井が見える。

体にのしかかった沢本君。

私の首に、ひどく冷えた手をかけて。

もう片方の手が、私の頬へと滑り――……




「…………!」


「大丈夫? 白坂さん」



目を閉じても、その残像は消えない。

ドクドクと激しい心臓の音。


肩を支えてくれる先輩の手が優しくて、だんだんと落ち着きを取り戻す。


恐怖はしだいに遠のいていった。
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