3度目に、君を好きになったとき
「結衣ー! お待たせ!」
遠くから、手を振る未琴の姿が確認でき、先輩二人の軽口はいつの間にか中断していた。
「未琴、おはよう」
手を振り返しながら、彼女の両隣にいる人に気づき、笑顔のまま固まる。
「あっ。白坂さん」
すらりとスタイルの良い未琴よりも、さらに背の高い女の子――椎名さんが爽やかな笑顔で軽く手を上げる。
そして……、半歩遅れて歩くのは。
無愛想に肩に鞄を引っ掛けた、真鳥だった。
「結衣、真鳥と緋彩も誘っちゃった」
仲良くなりたいと常々思っていた椎名さんは良いとして、なぜ真鳥も?
(真鳥は、呼んじゃ駄目だよ……)
私の不満が顔に出ていたのか、すぐに未琴は説明してくれる。
「真鳥と緋彩も同じクラスになるらしいから、呼んだんだ。二人は小学校の頃からの幼なじみなんだって」
「……そっか。幼なじみ、なんだね」
私は特に問題ないフリをして未琴に言葉を返した。
――真鳥を見ると、なぜか不安に駆られる。弱みを握られているような、そんな気になってくる。
だからあまり、目が合わないように気をつけた。
心を見透かされて、全てを暴かれてしまわないために。