3度目に、君を好きになったとき

「未琴。椎名さん達にも渡してくれる?」

「ん。いーよ」


ガムを4つ未琴に渡したら、向かい側の千尋先輩が私の顔を見てニヤリと悪そうに笑った。


「な、何ですか?」

「いや。顔が赤いなと思ってさ」

「えっ」


思わず頬に手を当てると、確かにいつもより熱い。

そんな私を見て肩を震わせる千尋先輩。


「ほんと……わかりやすいな」

「少し暑いだけですから」


軽く睨んだら、隣の蓮先輩がなぜか反応して顔を覗き込む。


「暑い……? 熱があるの? ちょっとごめんね」


突然、ひんやりとしたものが額に当てられ、目を丸くする。

蓮先輩の滑らかな手のひらが、私の前髪をかき上げ、熱を測ってくれていたのだ。


「うん。熱はないね。良かった」

「…………」


ますます私の頬が熱くなっていく。

何も言えない私を、千尋先輩は笑いを堪えて見ている。


未琴は椎名さんや真鳥と話し込んでいて、気づいていないのが救いだった。

私は窓の外へ顔を向けたあと、こっそり千尋先輩を睨んで溜め息をついた。
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