3度目に、君を好きになったとき
(なんだ……。やっぱり二人はまだ想い合っていたんだ)
柏木先輩はあの人のことが一番大切ということ……。
ほんの少しの期待が、あっさりと溶けていく。
二人の親密な姿を見ていたら、微かに存在していた自信が消え失せてしまった。
中学と高校で離れていた空白の一年間、先輩がどうやって高校生活を過ごしていたのかわからない。
私とは違う場所で生活している間、先輩は彼女ができていた。
すごく綺麗な人で優等生で。絵になるほど先輩とお似合いだった。
別れても、またよりを戻すくらいお互いになくてはならない存在なのだろう。
復活したばかりの私の恋心は、叶うことなく呆気なく散っていった。
「結衣? こんな所で何やってんの」
背後から声をかけられ、ビクリと肩を揺らす。
振り返った先には隣のクラスの永野未琴がいて、私の涙を見て怪訝そうに眉をひそめている。
曲り角の向こうを覗いた未琴は「ああ……」と呟き、納得していた。
「柏木先輩、彼女とまだ続いてたんだね」
未琴の登場で先輩達の様子をそれ以上覗き見ることはできず、今日はこのまま部活を休むことにした。