3度目に、君を好きになったとき

「……あ。大丈夫、です」


慌てて笑顔を作り、窓の外へ顔を向けた。


夕方になり、だんだん車内が冷えてきた感じがする。

クシュッ、とくしゃみが出てしまい、恥ずかしさに顔を伏せる。


好きな人のそばでくしゃみをしてしまったなんて……、嫌われたかと思うと悲しい。絶対、ポイントは下がったよね。



「結衣、寒いの? これ、羽織ってていいよ」


気遣ってくれた蓮先輩が、自分の着ていたコートを脱ぎ、私の肩に掛けてくれる。


一瞬、抱きしめられたような形になって、先輩の香りにふわりと包まれた。

即座に顔が火照っていく。



「……ありがとうございます。でも、先輩は?」

「僕なら平気。こう見えて暑がりなんだ」


冗談ぽく笑った蓮先輩は、リュックの中から何かを取り出した。
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