3度目に、君を好きになったとき
初めて結衣を好きになったのは、中学のときだった。
放課後の美術室。
無意識に彼女を目で追っていたら、千尋に指摘され、自分の気持ちに気がついた。
『お前さー。見すぎ。白坂のこと』
『……え?』
呆れた目つきの千尋にそう言われるまで、それが恋愛感情だとは全く意識していなかった。
目が合っただけで嬉しいとか。
彼女が何を好きなのか、とか。
ほんの些細なことが、いちいち気になっていた。
二度目は、結衣からバレンタインのプレゼントをもらったときに。
一度、中学卒業前にした告白を断られてから、彼女への気持ちに蓋をしていた。
結衣を好きだと思う気持ちを、自分の中から消していたつもりだったのに。
彼女に笑顔を向けられ、会話をするうちに、そばにいたいと思う気持ちがまた生まれていた。
そして今日、半日一緒に過ごして、前よりも彼女のことを好きになったと自覚させられた。