戦場の翡翠
「止めて下さい!お願いいたします!娘だけは、娘だけはどうか!」

「さぁ、この娘……少々小汚いが……」

奴隷売りの男が少女の顔を無理矢理上げさせる。

少女は歪んだ表情を浮かべていたもののその顔は絶世の美女であった。

会場からは歓声が上がる。

だが奴隷売り男はまだ続ける。

「その上この娘、李(イ)国のあの伝説とまで言われた蝴蝶(こちょう)族の娘なのだ!」

その、声と共に会場の歓声は更に大きくなる。

それもそのはずである。
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