俺様副社長のSweet Day
「もう.......バカ.......」



本当はあげるつもりなんてなかった。
あの子から受取った暁をみて、いつの間にか渡したくないとまたあのトラウマを思い出していた。

でも、暁からの言葉はそんなあたしの心をいとも簡単に溶かしてくれる。



「はい、美味しいかは分からないけど」


「やった、めっちゃ嬉しい」



あたしの手からチョコレートの包み紙を受取った暁は飛びっきりの笑顔になる。
その笑顔は、欲しいおもちゃを買ってもらえた子供のようだ。



「そんな、嬉しい?」



前の日の夜、暁には内緒で朱莉の部屋で作ったチョコレート。
同じ家にいるから、なかなか自分の家で作ることはできなくて。
そんなチョコレートをこんなに喜んでもらえると、作った甲斐があったというものだ。



「最初の年は夏だったし、そんな時期じゃねぇし、再会してやっと付き合えたあとは俺はあめりかにいただろ?だから、心海からチョコもらえんのめっちゃ嬉しいんだよ」


「そっか、いままで機会がなかったんだもんね.......」



タイミングがことごとくあっていなかったんだ。

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