あの日交わした約束
翌朝-

恵美里は学校に行く準備を整えて、部屋を出た。

階段を降りて、リビングに入ると、「あら、恵美里、おはよう。学校行くのね?」と、お母さんが笑顔で言う。

「恵美里、おはよう、休んでもいいんだぞ?」と、お父さんも言う。

「行くよー。皆に逢いたいし、ちゃんと自分の言葉で気持ち伝えたいからね~‼あ、でも授業は受けにくかったらパスする」と恵美里は言った。

「そう、頑張りなさい。お弁当、リュックに入れといてあげるね」とお母さんは言って、お弁当をリュックにいれた。ペンケースとルーズリーフしか入っていない鞄に。

恵美里は朝食を食べ、リュックを背負い、優雅に家を出た。

しばらく歩いてると、徹に出逢った。

「恵美里おはよう。いつもこの時間?」と徹は言う。

「おはようございます。徹さん!校区は一緒だったから近所だとは思ってたけど…こんなに近かったとは…」と恵美里が言う。

「なら、これからはここで待ち合わせようか?一緒に行こうよ」と徹の誘われ、恵美里は大きく頷いた。

そして、二人は並んで歩き始めた。

「で…その重度の固定具は何?」と徹は言った。

「昨日、病院行ったんだけど折れてたらしい。」と言うと、

「マジ?ってことはしばらく…」と徹。

「そう、全治2ヶ月らしくて…1週間は安静にして様子見るようにって」と恵美里は言いながら泣きそうになる。

「そっか~仕方ないよね。うん、俺ら恵美里が頑張ってるの知ってるし大丈夫だよ‼あ、鞄もってあげる!貸して?」と徹が言う。

「大丈夫!何も入ってないし、軽いから。ペンケース、ルーズリーフ、お弁当しか入れてない。あ、バチは持ってるけど」と恵美里は強がるが、

「いいって!気にすんな。もっと頼っていい。言ったろ?お前は俺らの宝物だって!」と徹に言われて、ありがとうと言って恵美里は言ってリュックを渡した。

「軽っ?!マジ軽いわ。ほんまになんも入れてへんのやね」と徹は言いながら荷物を持ってくれた。

学校に着く直前くらいに宥に出逢った。

「恵美里、徹?おはよう」と笑顔で挨拶してくる宥。

宥の横には生徒会長の野間星光がいた。

「おはようございます」と恵美里は笑う。

「星光…珍しいな?」と徹は言う。

「あぁ、まあな。ちょっと宥に頼まれたからさ」と星光は答えた。

そして、恵美里の方に視線をやった。

「キミがウワサの女?」と星光は言う。

「どんなウワサでしょうか?」恵美里は平然と言う。

「ん?ホンモノなんでしょ?」と星光。

恵美里は?を頭につけながら首をかしげた。

「OK、わかった。良いよ。中々いい性格してるのね?それなのにこれか?」と星光は言いながら、今度は宥を見た。

「アイツが悪質なだけだ!」と宥は言う。

「で、その固定具はどした?」星光は話を変えるように徹が言ったこととおんなじことを聞いた。

「病院行ったら上腕骨近位部骨折でした。聞き慣れない名前で驚いたんですが、全治2ヶ月と言われました」と恵美里は言った。

「あ、紹介遅れたけど…この人が生徒会長の野間星光な」と宥が言う。

「やっぱり!入学式で生徒代表挨拶してた方ですよね?会長様だったんだ…」と恵美里は言った。


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