あの日交わした約束
どう絞めるかを悩んでいるらしく、険しい顔をする会長。

「アイツ?懲りないのなぁ。ほんとにクズ…けど…これで俺らも正々堂々やれるんじゃね?今までは大事じゃなかったベ?だから大人しくしとったけどもよ?」と副会長は言う。

「確かにな。クズはクズらしく生きるしか無いからな。最終兵器でも出すか?」と会長は言い出した。

「公開処刑?」と笑う副会長。

「それは俺らがしなくてもアイツらがキッチリするだろうからよ。俺らはそれのフォローだ。とりあえず、文化祭までに俺らの出来ることはしよう」と会長は言った。

「篠崎さんだったよね?俺らがなんとかするから、早く治ること考えてね。」と会長に言われて恵美里は頷いた。

「忙しくなるねえ。文化祭までもう少しだし」と副会長は笑うのだった。

この笑みに恵美里は思わず身震いした。

「そろそろ戻った方が言いな。俺、教室まで送るからな」と会長言って立ちあがり、恵美里を教室まで送ってくれた。

昼からの授業をそれなりに受け、放課後になった。

恵美里が準備して教室を後にしようとしたとき、宥と星光が何かを話ながら教室の前まで来ていた。

恵美里を一瞬見ると、ふたりは笑顔になり

「早く行こー」と声をかけた。

そして、3人で第2音楽室に向かうのだった。

恵美里はただ見ていることしか出来ず、時折辛そうな顔を見せたものの、

「そこ、トーンちがくない?」等アドバイスをしていた。

普段演奏に集中していることで気づけていなかった微妙な音程や、キーなどを微調整するように細かく指導した。

ドラムが必要な所は宥が叩いて合わせてくれる。

星光はそんな様子をしばらく眺めていて、何も言わずに去っていった。

練習を終えて、恵美里は改めて自分の気持ちを伝えた。

骨折したことも含めて。

皆は「あのクズ~!!」と怒りを全面的に出していた。

「1週間は安静にって…それ以降も痛んだら無理しないことが条件です」と落ち込むように恵美里は言った。

「仕方ないね~うん。大丈夫だよ」と豊が励ましてくれる。

「ごめんなさい」と恵美里が言うと、

「何で謝ってんだよ?」と勝と祐は言う。

「気にしなくていい。ちゃんとお前の誠意は俺らが知ってる。文化祭ではそれを証明してやるから」と徹は言った。

「ありがとうございます」と恵美里は頭を下げた。

練習が終り、皆は帰り支度をした。

そして、豊が恵美里の鞄を持ち、皆で音楽室を後にした。

皆で笑いながら他愛もなく、下校する。

皆は「恵美里家まで送らして?」と言うもんで、恵美里はお願いしますと頭を下げた。

「あ、よろしければ、みなさんウチ上がっていきませんか?親に紹介したいですし…」と恵美里は言った。

「ほんとに?いきなり行ったら迷惑じゃない?」と宥が言う。

「今から連絡するので!」と恵美里は言い、すぐにお母さんに電話をかけた。

『良いわよ~楽しみにしてるわね』とお母さんは快諾してくれて電話を切った。
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