あの日交わした約束

しばらく歩いて、恵美里の家の前に着いた。

「みなさん、どーぞ」と恵美里は声をかけて、門をあけた。

丁寧な宥が最後に入って、門を閉めてくれる。

そして、「ただいま～」と言ってドアを開けた恵美里のドアを支え、皆を先に通して、ドアを閉めた。

「恵美里、おかえりなさい。みなさんもいらっしゃい」と笑顔でお母さんは迎えてくれる。

皆はお邪魔しまーすと声を揃えて中に入った。

そんな皆の靴までも揃えてくれた宥は完璧な気づかいを見せた。

「お母さん、張り切っちゃったわ～皆に会えるの楽しみにしてたのよ～」とお母さんは笑顔で言ってリビングへと案内した。

人が来ることに抵抗が無いためか、いつもより少し豪勢な食事が食卓には並び、「作りすぎちゃったわ」と笑うお母さんは可愛い。

「あ、皆、鞄テキトーに置いてね。」と恵美里は言う。

「お母さん、紹介するわね」と恵美里は言って一人ずつ紹介をした。お母さんは嬉しそうに会釈をする。

「宥君久しぶりね。あの時以来ね。随分イケメンになって…」とお母さんは嬉しそうに言う。

「お久しぶりです。お母さん。お母さんも元気そうで」と宥は笑顔で言った。

「徹君も…久しぶりね。ずっと恵美里の追っかけしてた頃が懐かしいわね」とお母さんは目を細めて、懐かしむように言った。

そんな話をしていた頃、「ただいま～」とお父さんが帰ってきた。

お母さんが迎えに出ると、護もナゼか一緒で、

「あら？護さんも一緒？上がって」とお母さんは言う。

「お邪魔します」と靴を揃えた護も中に入ってきた。

護がリビングに入ってくると皆は硬直していた。

「あ、護さんおかえりなさい。お父さんも…」と恵美里は言ってしまう。

「ただいま。皆いらっしゃいよく来たな」とお父さんは言う。

「恵美里！何で連絡したのに出ないんだよ？」と護は恵美里に近づいた。

「え？あ、ごめんなさい。皆と一緒で気づかなかった」と恵美里は言って、慌てて鞄の中に入れてあったスマホを取り出して確認すると着信履歴がすごいことになっていた。

「俺のせいじゃーん。恵美里ごめん！俺が鞄持ってたからだよな？」と豊は謝ってくれる。

「豊さんのせいじゃないですぅ」と恵美里は笑う。

「…っとに…まあ元気そうで安心した。あんなに昨日泣いてたから正直心配してたんだよ」と護は言ったので、ごめんなさいと恵美里は謝った。

「さあさ、詳しいことは食べながらでも。温かいウチに食べて皆」と言うお母さんに

「席つく前に手は洗えよ？お前ら」って護は先生みたいな口調で皆を洗面台に誘導する。

「ほら、あなたも…」とお母さんはお父さんに言い、お父さんは手を洗うと、着替えて食卓に戻ってきた。

「随分賑やかだな。たまにはこういうのも悪くないな。恵美里は一人っ子だから寂しい想いさせてるんじゃないかとずっと思ってきたけど…そうでもない。皆に愛されてるようだ」とお父さんはお母さんに話していて、そうね。とお母さんは笑っていた。

皆は手を洗い、食卓に戻ってきた。

今度は誰がどこに座るかを揉めているのか、騒がしくしている。

そんな様子を笑いながら見守るお父さんとお母さん。

しばらくして落ち着いたのか、皆の席は決まった。

といっても、人数的に全員座れるほどのテーブルではないため、カーペットの上にお父さんと護は座り、ソファーの前に置いてある小さなテーブルで食事を始めた。お母さんは少し後でいいわと一緒に食べるのを遠慮した。