あの日交わした約束
恵美里はベットに腰掛け、横を促した。

抵抗しながらも、護は横に座る。

心臓が爆音となり、響くのではないかとドキドキしていた。

相手はずっと一緒に過ごしてきたまだ女子高生だとわかっていながらも、どこか心の奥にいつも存在してきた恵美里という大きな存在だ。

護は鼓膜に響く自分の心音が平常心を失いそうになっていた。

恵美里に出会うまではかなりモテた護、女経験もかなりのもので連日遊び歩いてるような時期もあったが恵美里と出逢ってから全ての女と手を切り、仕事に、恵美里に人生を捧げてきた。

そんな中で迎えるこの状況だ。

高校生といっても年を重ねるごとにいい女へと成長していく恵美里を一番近くで見守ってきた。

普段なら特段気にならないようなことも、今だけは敏感に反応してしまう。

しばらくふたりは無言でベットに並んで座っているだけになった。 数分して恵美理が護の肩に頭を乗せて甘え始めた。

「ちょっ…いきなりどしたん?」と護は焦りながら言う。

「…だってこんなときくらいしかこんなこと出来ないし…」と恵美里は言う。

そんなもたれかかってきた恵美理の肩を優しく包み込むように護は抱いた。

けど…肩は痛まないように力は入れずに。

「ねえ、護さん?私に何か言いたそうだったわよね?」と不意に恵美里は言う。

「あー、どうだったのかな?って…」と誤魔化すように護は言う。

本当は恵美里に言いたかった。

『好きだって…』でもそれは言ってはいけない気がして。

「恵美里、宥のこと好きだろう?見てたらわかるよ」と護は話を変えた。

「…えっ?…ん、護さんにはやっぱりバレてたんだね」と恵美里が言う。

「わかりやすい。まあいい男なのは間違いないしな」と護は言いながらもすごく複雑な気分になった。

「で、学校はどうだったんだ?」と優しく恵美里は聞く。

「ん、すごく良かった。クラスメイトは皆優しくて、フォローしてくれるし、何より会長が…ボディーガードしてくれてたしね!」と恵美里は嬉しそうに言う。

「そっか。ホントに恵まれたんだな」と護は笑った。

「うん!ホントに私は恵まれてる。だからこそ、今の私を見て欲しいんだ。あの人らに」と恵美里は言った。

「うん。ホントに楽しみだな!文化祭」と護は言って恵美里の頭を優しく撫でた。

嬉しそうに笑う恵美里。

「じゃあ、そろそろ俺も帰るな?何かあったらいつでもすぐに言ってこいよ?駆けつけるから」と護

「ん、ありがとう!あ、送らなくてもいい?」と恵美里

「おう!じゃあ、またな」そう言うと護は部屋を後にし、階段を降りていった。

「あら、護くん帰るの?今日はホントにありがとね」とお母さん、「久しぶりにかなり賑やかだったよ」とお父さんに言われながら見送られ、恵美里の家を後にした。

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