あの日交わした約束
その頃、2年の教室では大きめのため息をついている勝がいる。

同じクラスの他のメンバーもため息をついていた。

「どしたん?」と豊が聞く。少し空気が豊は読めないチャラさがある豊らしい発言。

「なんでいつも恵美里は笑ってんだろうって…辛いし苦しいし、悔しいだろうし…痛むだろうし…なのになんで…」と勝、

「俺らには絶対愚痴らないし、俺らの前ではいつも笑顔だよ?それが耐えられないくらい辛いんだ」と珍しく祐も乗っかる。

「そうだね。だから、アイツに頼んで、最後にしてもらった。有志の発表!マイク持つ勝が歌う前に少し話するからって…だからお前の想いをマイク通して、皆に伝えてくれよ」と宥は言った。

「わかった!恵美里にも、皆にも伝わるようにちゃんと話する」勝はそう言った。

「で、お前はどうなんだよ?いつなったら恵美里に告るんだ?さっさと言っちまえ!もうすぐ文化祭なんだどうせ、一緒に過ごしたいんだろ?」と徹に言われ、「そうだな」と一言宥は返した。


そんな会話をされていることも知らずに恵美里は普通に授業を受けていた。

もちろん、クラスメイトは皆気にかけて、いろいろフォローをしてくれた。


お昼休みには宥が教室まで来て、連れ出してくれる。

天気のいい日は屋上でランチするようなこともあった。

1ヶ月をきり、本格的な文化祭に向けて皆が忙しくするなかで宥は極力恵美里のそばにいるようにした。

この日も、お弁当を食べ終えた二人は日光浴をしていた。

ふと、宥が、「恵美里、俺の彼女になってくれないか?」とどスレートに告白。

恵美里はよろしくお願いいたしますと頭を下げた。

予鈴がなり、二人はそれぞれに教室に戻った。

恵美里はついついにやけてしまう。

宥もまたにやけながら皆に報告するのだった。

「良かったな~」と豊は言った。

放課後、いつものように宥は恵美里を迎えに来た。二人はそのまま並んで歩き、音楽室に向かった。

文化祭へのカウントダウンがされるなか、迫ってくる文化祭への焦りからなのか、少し皆の空気はピリッとしていた。

恵美里もその空気を感じとる。

「ごめんね…私のせいで…」ホントに恵美里はそれしか言わない。

「だから、ちげぇって!お前のせいじゃねぇ!」と祐は言い出す。

「違うんだ!恵美里ちゃん、おいで?」と優しく言ってくれる豊。

恵美里が豊のところに行くと、皆が恵美里の周りを囲むように立った。
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