あの日交わした約束
「おーい」と宥が覗き込んで言って、

「あ、すいません…」と恵美里は顔を上げた。

「誰か教えてよ。どーゆう知り合いよ?」と宥は言う。

「私の大切な人なんです。私が元いたバンドの現ドラマーで…初恋の人でもあるんです」と恵美里

「そう…会う約束を?」と宥

「はい!文化祭前だから聞きたいこととかたくさんあるんです」と恵美里は言った。

「…まぁ、信じてるけど、何かあったら俺呼べよ?」と宥に言われて、恵美里は頷いた。

予鈴が鳴り、宥は教室へと戻っていった。

午後からの授業は体育なので、恵美里は見学だったけど。

帰支度を終え、教室を出ると、当たり前かのように会長が迎えに来てくれていた。

「篠崎さん!」と声をかけてもらい、並んで歩く二人。

少ししたところで恵美里は人に軽く接触した。

「あっぶなぁ~。篠崎さん大丈夫?」会長はそう言って優しく肩を抱き、その人からけがさせられないようにと守ってくれた。

「ありがとうございます」と笑いかけると、

「当たり前のことしただけだよ」と笑顔で返される。

そして、「おい!ちゃんと前見て歩けよ」とぶつかってきた人に声をかけると、その人は勢いよく頭を下げて去っていった。

「わざとじゃないならいいんだけど…」とブツブツ会長は言っていた。

「あの会長!良かったら練習見に来ません?無理にとは言いませんし、ずっととも言いませんけど…復帰した私の演奏見てもらえませんか?」と恵美里が言うと、

「まぁ、篠崎さんがそう言うなら少しだけ覗いて行こうかな」と会長は言い、二人は音楽室に向かった。

二人が音楽室に着くとすでに皆はチューニングをしていた。

「おー、恵美里来た!…って何で星光まで一緒にいるんだよ?」と祐が言えば、

「ん?悪いか?篠崎さん迎えに行ったら、良かったら練習見て欲しいって言うもんだからさ」と会長が言うと、納得したように、皆はそうかと頷いた。

そして、皆は練習を始めた。

しばらく練習をみていた会長はキリがいいところで、去っていった。

「あー感想聞こうと思ったのに…もう行っちゃった?」と思いきり恵美里が拗ねると、

「忙しいんだよ。アイツ、会長なんだしやること山積みだろう」と宥は言った。

そうだよね…仕方ないよね。恵美里は納得し練習を再開した。

皆は納得が行くまで練習した。

一時間ほど練習して、練習を終えた。

そして帰り支度を始めた。

恵美里は鞄を持つと、「ごめんね。皆、お先です」と挨拶して音楽室を後にした。

恵美里が去ったあとの音楽室

「ん?早くない?恵美里、どしたんやろ?」と徹が聞く。

「あ~あ、待ち合わせしてるみたいよ~」としれっと宥は言う。

「はぁ?誰?もしかして男か?」と徹が言う。

「あー、うん。何でも初恋の相手らしいわ」と宥

「お前、何でそんなに平気なん?」と祐まで言い出す。

「男と女二人きりにしたら、何が起こるかわからんで?」と豊が言い出した。

「お前やあるまいし…大丈夫やろ。俺は恵美里を信じてるから。それに初恋言うてたけどそれ以上に大切な人らしいねん。前いたバンドの現ドラマーらしいしな」と宥は言った。

「そうなんや。うん、まあ宥がそう言うならいんじゃね?」と徹が言うと普通に帰り支度を始めた。

そこに慌てたように入ってきた会長。

そして、「お前ら、何呑気にしとんねん!篠崎さん知らん他校の男と抱き合ってたで。校門前で」と言った。

「えっ?抱き合ってた?!」と宥

「ホントに追いかけんでいい?」と勝は心配するように言う。

「お前ら、気持ちはわかるけど、ええかげんにしろよ?わかるやろ。恵美里はそんなやつちゃう!それに久しぶりの再会やろ?抱擁くらいあるやろ?」と宥は言った。

「えっ?あ、知ってた感じなん?」と会長。

「俺の前で電話かかってきたからな。逢えへんか言う電話。だからそのあと詳しいことも聞いたよ。関係もね」と宥は言った。

「そうか。まあお前がそう言うならええんやけど」そう言うと会長は去っていった。

皆も帰り支度を終え、音楽室を後にした。
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