あの日交わした約束

「なあ、ランボルギーニの男の話、詳しく聞かせてよ」とハルは話題を変えた。

「あぁ、あれね。アクラスの早川護社長知ってる？彼がね、まだアクラスを立ち上げる前、オーディション番組の審査員してたの。その時から現在に至るまでずっとお世話になってて、繋がりがあるのよ。私が家に帰ったらいるようなことも多々あったりして…今のメンバーに出会ったのも、護さんのおかげ！よく迎えに来てくれる車がランボルギーニだから周りからはランボルギーニの男って呼ばれてれる」と恵美里が言うと、なるほどね！とハルは納得したように頷いた。

「最近気づいたんだけどね。私…護さんのこと、一人の男性としてどんどん好きになってる。お父さんとお母さんが二人はいつ結婚するんだ？って聞いたことがあってね。その時護さん、14も歳の離れたオッサンとはつりあわない。まして、高１なったばかりの恵美里はきっとこれから素敵な出逢いもあって楽しい生活を送るはずだから、俺がそれを邪魔するわけにはいかないでしょう？って言われたの。しかも即答で。私はそれが辛かったし、悔しかった。だから私も便乗しちゃって…そう思うようにしてきた。護さんのためにも、同年代の人とお付き合いして幸せな学生生活送ろうって。でも、心のどこかには罪悪感というか、申し訳なさとか、モヤモヤしたものが残ってて…」と恵美里はコーヒーを飲みながら話した。

「兄ちゃん今の話どう思う？」とハルは兄にふる。

「う～ん。難しいけど、いいんじゃない？今は彼氏を大切思ってるんだったら。その気持ちを大切にすれば。もちろん、彼氏に話しとくのもアリだとは思うけどね。大人になってさ、それぞれが今後どうしたいかって向き合ったときに答え出せばいいんじゃない？大事な高校生活は１度しか無いんだからさ。今は思うように、直感で生きていいと思うよとか、カッコつけてる俺も人のことは言えないけどさ」とハルの兄はいう。

「ですよね！ありがとうございます。多分これからも、宥さんとはビジネスパートナーとしても深く関わっていくと思うので、本音で話してみようと思います！」と恵美里は笑った。

「人のことは言えないって言ったよね？兄ちゃんにもそんな感じのことあったってことか？」とハルは聞いた。