あの日交わした約束
翌朝、恵美里はいつものように家を出た。

宥が迎えに来てくれていて、並んで歩く。

「昨日はどうだったの?」と聞いてくる宥に恵美里は、

「貴重なお話たくさん聞けて良かったわ」と恵美里は笑って答えた。

「大切な人だって言ってたよな?皆心配してたんだよ?星光なんか、校門前で他の男と抱き合ってたけど追わなくて良いのか?なんて言い出すしよ」と宥が言う。

「ゴメンね。彼、私のドラムに惹かれて今や完コピできるって言う噂もある人なんだけど…先輩らが彼がいい!っていう気持ちも理解出来る実力派のドラマーなの。お兄さんいたのは知らなかったけど」と恵美里は言う。

「そっか…」と宥は一言だけ言った。

それ以降の会話はなく、そのまま学校についてしまった。

「おはよう」と椿のメンバーが現れて二人はおはようと笑った。

「ねえ!昨日の…」と豊が言ったところで、

「どうだったの?」と先に徹が聞いてしまう。

恵美里はハルとの関係を話した。

皆も言葉に詰まったようだった。

けど。恵美里が笑顔でオーラを放ったため、それ以降は誰も何も聞かなかった。

その日も、普通に授業は始まり、終わっていく。

いつもと変わることなく。そして、放課後には当たり前のように、会長が恵美里を迎えにくる。

会長はどうしても気になるらしく、やっぱり聞いてしまうが、恵美里は笑顔を見せるだけだった。

二人が音楽室につき、恵美里は中に入った。

練習はすぐに始まった。微調整も、ほぼ完璧だった。

その為、皆は早めに練習を切り上げた。

「…なあ、恵美里少し話しても言いか?」と勝が言い出した。

皆は集まって恵美里を囲むように座った。

「今回さ、少し話出来るようにしてもらったって言ったろ?だからさ、どんな話しようと思ってるかはやっぱり知っといて貰おうかと思ってな」と勝は口を開いた。

「恵美里とであった頃、思ったこととか、恵美里と一緒に音楽していくうちに変わった音楽への想いとか…恵美里のけがについても触れながら話したいと思ってる。恵美里はホントに俺らにとって大切な宝物なんだ。恵美里の笑顔が俺らに勇気や元気や幸福を与えてるってことを知ってもらいたい。もちろん、護さんとか、恵美里が大切に思ってる元メンバーの先輩たちとかに伝わるように精一杯の想いをこめて話すからさ!だから無理はしないで欲しい。痛んだり、キツかったりしたら即、言って欲しいんだ」と勝は言った。

「はい、わかりました。ありがとうございます」と恵美里は言った。

「恵美里も俺らに言いたいことあったら言って欲しい」と珍しく祐が言った。
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