あの日交わした約束
翌日になり、恵美里は少し痛む肩を優しく擦った。準備を整え、階段を降りて、朝食をとり、家をでた。

宥を中心になぜか全員が揃っていた。

今日は文化祭一部の日なので、誰も楽器に触れない。

それは皆で決めたルールでもある。

「おはよう、病院どうだったの?」1番皆が気にしているところはそこで、宥が代表するように聞いてきた。

「酷くてね。少し悪化してるみたい。赤く腫れて炎症起こしてて、昨日は痛み止めの注射を打ってもらった。先生、説得したから明日はちゃんとやるから!先生、明日見に来てくれるって…で、ちゃんと治療して、完治するまで演奏しないことを約束させられたからしばらくは、大人しくしようと思ってる。だから、明日だけは暴れさせて?」と恵美里はいうのだった。

みんなはわかったと大きく頷いた。

そして、学校へと歩き始めた。

「ほら、皆浮かない顔しないでよぉ。今日は楽しむよー」と恵美里は笑うので皆もつられて笑ってしまった。

学校に着くと、すでに賑やかだった。

カラフルな看板が目をひき、門をくぐると異世界のような空間だった。

皆は慣れているのか反応は薄いが、初めて経験する恵美里にとってはとても新鮮でキラキラしていた。

テンションが少し高めな恵美里は興奮気味に視界をさ迷わせている。

「はしゃぎすぎだよー」と呑気に言う宥に対して、

「だってぇ…」と笑う恵美里。

そんな仲のいい二人を見守るメンバーたち。

「じゃ、またあとでねー」と気をきかせて去っていく、メンバーたち。

改めて二人にされると少し緊張している宥と恵美里。

手を繋ぎ直すと二人はゆっくり見て回った。

「どう?すごくない?」と宥は言う。

「はい!異世界みたいですね!こんなに豪華なんだー」と恵美里は笑った。

「まあ、私立の高校となるとこんなもんだよ。近隣の学生も集まってくるしね!」と宥に言われて、そうなんだぁと笑った恵美里。

二人の時間を楽しんでいた。

そこに生徒会と書かれたロールを腕に巻いた、会長が現れた。

「おはよう!楽しんでるかな?」と。

恵美里は嬉しそうに笑いながら、はい!と大きく返事した。

「もうすぐしたら体育館で生徒会による、演劇をやるんだが、よかったら二人とも見に来てよ」と会長は言って。

「マジ?お前がやるん?やばない?その劇…」とかかなり失礼なことを言ってる宥に対して、

「楽しみにしてますね!もうすぐしたら行きますね!頑張ってください!」と恵美里はなんだかとても楽しそうだ。
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