あの日交わした約束
翌日ー

いよいよ文化祭当日を迎えた。

「おはよう、恵美里!いよいよね。待ち望んだこの日が来たわね!」とお母さんが嬉しそうに言う。

「痛んだらすぐにでもやめて、無理だけはしないようにな!あ、けど楽しむことだけは忘れるな!」とお父さんに言われて、

恵美里は大きく頷いて「行ってきまーす」と言って家を出た。

家の前には椿のメンバーが全員揃っていた。

宥も含めて椿だとよく、みんなは言っていて、ホントにそうだと思う。

「おはよう!」と皆が声を揃えた。

「おはようございます」と笑顔で恵美里が返すと、

「アカン…恵美里見たらめっちゃ緊張してきた…」と豊が言い出す。

「俺もヤバい。今日はアイツら来る…恵美里の笑顔を見せてやりたいし、輝かせてやりたい本気で思ってる。アイツら後悔させてやるくらい頑張るからな」と徹は言った。

「信じような!自分等を!」と祐

「楽しむことだけは忘れるなよ?」と宥は言った。

そんな話をしながら、学校に向かった。

学校は昨日に引き続き、きらびやかな装飾が施され、文化祭と言うものを色づけた。

「皆ーおはよう!」と入り口で迎える隼人は早速1枚カメラのシャッターを切った。

「隼人さん!おはようございます。今日はよろしくお願いしますね」と恵美里が言うと、

「任しとき!最高の写真、撮ったるから!」と隼人は笑う。

「ほな、また後で」と言い残すと早々に隼人は去っていった。

体育館に着くと、皆は最終調整を行っていた。

けど、椿は楽器に触れることはなく、ただだべりながら、自分等の出番まで、中庭の出店に行ったりと、楽しみながら過ごしていた。

「お前ら、練習しないのか?」と、どっかのやつが言う。

「最後にあがいてもしょうがないじゃん?本気のパフォーマンスするためにあえて温存してるんだよ」と豊がニッコリ笑った。

それをみて皆もつられるように笑った。

それから観客たちがどんどん集まり始める。

もちろん、体育館の作品を見ている人も多い。

そこに恵美里の主治医や、護たちも来はじめた。

恵美里がずっと待ってた先輩らも到着した。

恵美里は彼らのもとへと走り出した。

「先ぱーい来てくれたんですねぇ?」と勢い余って抱きつくかたちで先輩の腕に収まった恵美里。

「おう!久しぶりだな?元気してたか?」と笑顔で迎えながら、抱き止めてくれる優しい先輩方。

そんな様子を遠目に見守る椿のメンバーたち。

誰も何も言わなかった。
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