あの日交わした約束
そんな頃、遠巻きに見ていた護は、能登と話していた。

「…なんだろう…あの空気…あの人感じたことあるな」と能登は言い出した。

「ん?見たことあるとかじゃなくて感じたことあるってか?」と護さんは言った。

「俺の直感が当たっていればですが。高校生にして数々のコンクールで賞を貰いまくっている…高校生カメラマンですよ。大人顔負けのセンスと感性で写し出される写真はまさに生きているかのような美しさ…」と能登は言う。

「珍しいなあ。お前がそこまで言うの…」と護が言うと、

「…確か…安西隼人だったかな?」と能登は言う。

「行って見るか?あっち…知り合いっぽいし」と護は言って、皆のところに来た。

「おはよー」と護が皆に声かける。

「あ、おはようございます。護さん来てくれたんですね!」と恵美里が言うと、

「当たり前じゃん。楽しみにしてるからな!あ、紹介しとくな。この人があの伝説のスカウトマン、俺の大事な人、能登葉月だ」と護が紹介し、能登は頭を下げた。

「今日は楽しみにしています」と能登は皆に笑いかけた。

「あ、じゃあ俺はこれで…」と去ろうとする隼人に

「待って、待って!安西隼人くんでしょ?」と能登は引き留めた。

「あ、はい…そうですけど、どうして俺のこと知ってるんですか?」と隼人は言う。

「…実はさ、俺君の大ファンなんだよね。ほら、数々のコンクールで賞取りまくってるじゃん?けど、君は写真持って帰らない人だから。関係者にお願いして毎回貰ってるんだよ。それで俺、個人用の私物にフォトブック作っちゃったりして…」と能登は言った。

「俺の写真でフォトブックを…?」と隼人は言う。

「君の作品には色々なものが詰まってる。見る人の心を動かす写真ばかりだ。まさか、ここで君に出逢えるとは思っても見なかったがな」と能登は言った。

「…うらやま~君さ、ここまで能登に言われるなんて!最高だね!ホント…葉月の目に狂いはない!こんなに評価させたらもう…入るしかないだろ?ウチ…」と護は言い、

「ウチの事務所入る?」と続けた。

「…えっ?…」と驚く隼人に「ウチでカメラマンとして活動しないか?」と能登は言った。


「…えっ?護さん、能登さんのこと葉月って呼んでたんですか~?」と意外なツッコミをする恵美里。

「あ?あぁ、今日はプライベートだからな。仕事では能登君なんだけど…今日は仕事じゃない。恵美里の真の姿見に来ただけだからね」と言う護に、

「そうなんですよ。プライベートでも、社長、いえ、護さんとは深交ありまして、仲良くさせて貰ってるんです。で、今回はどうしても同伴して欲しいとお願いされたので…」と笑う能登。

「なんだぁ。そう言うこと…」と恵美里は笑った。

皆はなんのことか理解出来ず、ポカーンとしている。

「護さん、能登さんのこと大好きですもんね!」と恵美里は嬉しそうに笑っていた。

顔を赤らめる能登と護

「あんま、言うなよ。ハズイから」と照れながら護は言った。
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