あの日交わした約束
しばらくして、病院に着いた三人は車から降りて中に入った。

能登はロビーで待っていて、二人は診察室に入った。

レントゲンや、軽い検査を受ける恵美里。

「君の想いはちゃんと伝わったよ。だからこそ余計ね!しっかり治そうね!これからのためにも」先生にそう言われて、頷く恵美里。

「しばらくは安静にして。ドラムは叩かない。重い荷物とかも避けれる範囲で避けて。1ヶ月は絶対に!」と先生に言われて、肩を固定してもらった。

恵美里はありがとうございましたと頭を下げた。

そして、二人は診察室を後にし、家に帰った。

「あらー、お帰りなさい」と笑顔で迎えてくれるお母さんに、『ただいま~』と声を揃えた恵美里と護

「お邪魔します」と能登は言う。

「ほら、早く入って!」と勧められるがまま三人は中に入った。

三人は手を洗い、食卓に着いた。

食卓には豪勢なお母さんの手料理が並べられていて、『美味しそう』とまたしても息ぴったりな恵美里と護

「あ、お母さん、この方がさっき電話で話した、能登葉月さん」となんとも不思議なタイミングで能登の紹介をした恵美里。

「どうも」と能登は頭を下げた。

お父さんはずっと何も言わなかった。

「ねぇ!お父さん?どしたの…? 」と恵美里が聞いてお父さんの顔を覗き込むと、

「えっ?あー、なんか言った?」とお父さんは言った。

「あなた、本当にどうしたの?何かあったの?」とお母さんが言う。

「…あー、どっかで会った気がしたんだけど…何処だったけなぁ…って考えてて」とお父さんは言った。

「…」無言になる能登。

「まあ、いいじゃん。気にしなくて…せっかくの美味しい母さんの料理が不味くなるまでにいただこうよ」と護は言うと、

「いっただきまーす」と言って食べ始めた。

恵美里もつられるようにして食べ始めた。

「そうね!」とお母さんも嬉しそうに食べ始め、二人は納得していないような渋い顔をしながらも食事を始めた。

他愛ない会話を皆で楽しく和みながら過ごしていると、

「あ!思い出した!」といきなり言う能登。

ん?と皆は驚いて、能登を見る。

「ほら、さっき、お父さんが言ってたどっかで会ったことあるような…ってやつ。今会話してて思い当たるフシがあって…」と能登は言った。

「…えっ?思い当たったの?」と恵美里は驚く。

「…俺の記憶が正しければ」と能登は言った。

私には何のことか全くわからなかった。
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