あの日交わした約束
その後、少しドラムを叩いた恵美里に皆は言葉を失っていた。

数分フリーズしていたが1番に声を発したのは宥だった。

「やっぱり生、たまんねぇな。ヤバイはこれは…バージョンアップしてね?」って。

「すごいのは知ってたけど、ここまですごいとは…」と徹。

「自信なくしそう。大丈夫かな?こんなすごい人と一緒にやっても…」と豊は言い出した。

「いいものできるぞ!」と楽しそうに笑った宥。

「あの、先程話した、今急成長している、芸能事務所の社長と言うのは…『アクラス』のことで…そこの社長、早川護さんのことなんです。あの日、私は約束をしました。一緒に仕事をする約束…そして、その私の支援、プロデビューをサポートしたいと今の会社を立ち上げてくれました。だから…彼に皆のこと話しても良いですか?」と恵美里が言えば、「もちろんだよ」と皆は声を揃えた。

恵美里はその事を1番に護に報告したくて、LINEを送った。

『逢って話そう。詳しく聞きたい』と返ってきた返信。

『学校まで迎えに行く』とのこと。

皆と待ってると恵美里は送った。

「護さん、迎えに来てくれることになったんですけど、皆さん逢ってもらえますか?」と恵美里が言えば、

「ヤバイ。緊張してきた」と豊は言った。

「俺らも…」と言うメンバーに

「あくまで私のプライベートなんでそこまで緊張しないでください!」と恵美里は言った。

「イヤイヤ、いくらプライベートと言えど…アクラスの社長に会うなんて誰でも緊張するよ?」と宥は言う。

そんなことを話ながら数十分、護が現れらた。

駐車場にいつもの愛車、ランボルギーニを停めた護は校舎へと向かってくる。

「迎えに行ってくる!」と恵美里は音楽室を飛び出した。

護と話ながら音楽室に戻ってきた恵美里。

皆は緊張からか、硬直していた。

「キミらがこれから恵美里と組むメンバーかい?」と護は聞いた。

皆が頷く。「ふーん?」と護は言いながら、皆の全身を何度も見た。

「ちょっと…護さん、見すぎよ?」と恵美里が言えば、

「あぁ、ワリィ。クセだな」と護は笑った。

「恵美里のこと、よろしくお願いします」と護は頭を下げて、その横で恵美里も頭を下げた。

「今日はもう終わり?」と護に言われ、

「はい。終わりです。明日からは文化祭に向けて本腰入れます。夏休みに入るので。」と宥言った。

「そっか。文化祭楽しみにしてる!じゃあそろそろ恵美里帰ろうか」と護に声かけられ、恵美里は音楽室を後にした。

恵美里はたくさん車の中で話をした。確信へと変わっていた。あの頃と違って上手くいく確信。

護も嬉しかった。こんなにスムーズにことが進んだことに。

恵美里を家まで送り届け、中に入り、両親と話し、

『応援してやってほしい』と伝えた。

お父さんとお母さんは何度もありがとうとお礼を言いながら、「恵美里、頑張ってね」と声をかけた。
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