先生、わたしの彼氏でいいんですか?



キーンコーンカーンコーン♪

予鈴だ。
この地域では学力トップの高校に入学した私。

入学式も説明会もまだなのに、入学早々模試って何よ~もう。

クラスに知り合いなんて一人もいないまま始まった模試。
あーあ最悪。
増して緊張に弱い私はおなかが痛くなってきて…
あぁ、どこまでついてないの私。
今は…8時25分。開始まで後5分だ。トイレに行くなら今のうち。



「せんせぇ…」
小声で私が訪ねると、少し不思議そうな目をしてこっちを見つめる先生が。

「あ、あの、トイレ、行ってきてもいいでしょうか…?」

「あ、うん、いっといで。」



周りのクラスメイトの視線を感じ、恥ずかしがりながら教室を出る私。

よし。

何も考えず無心になりながらトイレに駆け込む。
急げ急げ…




ふぅ、間に合った。何とかこれで模試開始には間に合いそうだ。


教室付近に行くとなにやら人影が。

…先生?

あ、心配して待ってくれてたってことかな。
取りあえず謝っておこう。

「あ、すみません。」

すると先生は一瞬驚いたような顔をし、笑顔でこう答えた。

「謝ることじゃないよ!間に合ってよかった。」


私はその言葉を聞いて安心し、入学直後の模試、
いわゆる
お迎えテスト
というものに向き合ったのだった。





これが私と先生との出会い。


このときの二人はまだ、これから訪れるさまざまなことを想像してもいなかった。
< 1 / 2 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop