クローバー
「本当は四つ葉のクローバーを探していたの。」

広がる緑色の中では小さかった私の目にはどれも同じ三つ葉にしか見えなかった。

でもその中からそっと積み上げた、その三つ葉のクローバー。
不恰好だけど葉が一枚小さい感じがお父さんとお母さんと私の家族を想像させた。

そしてどうしても手放せなくなって、お母さんが押し花にしてくれた。

それぞれ葉っぱが向いている方向はちがうけど、3つの葉っぱはどれもちゃんと繋がっている。

「ならそのネックレスは正解だな。俺も加わって四つ葉。そして俺が咲良を幸せにしてみせるよ。」

「海斗…。」
そう言われた瞬間、涙がとまらなくなった。
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