女嫌いのイジワル上司を攻略します!
「小夏さん...か。
なんか名前みてぇだな」
彼の私に対する最初の発言はそれ。
まぁこれまで22年間生きてきて、大抵の人が私の自己紹介のあと最初に言う言葉はそれと決まっている。
「はい。よく言われるし、名前の茉詩(まこと)がさらに私に似合わないんでみんな私の事を小夏って呼びます。」
私の顔の特徴といえば、丸顔。
まんまるのぱっちり二重の目に、決して高いとは言えない小さい鼻。
もうその時点で童顔と決まっているのに、それに追い討ちをかけるように唇も色気皆無の子どもっぽいものだ。
なのに、両親が茉詩(まこと)なんて大人っぽい美人を連想するような名前をつけるから、
「なんか、小夏のほうがしっくり。」
「茉詩って感じじゃ...ないよね?」
なんて周りから言われ続けるのももう慣れっ子になってしまった。
小夏 茉詩(こなつ まこと)。22歳。
この春、都内では一応有名な某私立大学を卒業した。
成績も悪くなかったし、コミュニケーションも苦手じゃなくて割と人当たりのいい性格。なはず。
特技は高校まで続けたフルートで、趣味は映画鑑賞。
ちなみに、彼氏は1年ほどいない。