女嫌いのイジワル上司を攻略します!
「おい、マコ。
そろそろ起きろ。お前主役だろうが」
俺がかなりの力で肩を揺すっているのに全く起きようとしない彼女は本当に疲れてんのか、もしくは酒を飲んだら寝るタチなのか。
そこまで彼女のことは知らないけど、俺に信頼を寄せているように思えるその寝顔を見て、なんだか悪い気はしなかった。
「おい、倉西。
そろそろお開きだってさ。
うわ。まこちゃん、やっぱ可愛いな〜。
俺、持って帰っちゃおうかな」
向かいに座った同期の佐久間がチャラチャラと冗談じみたことを言っているけど、男として持ち帰りたくなる気持ちは分からなくはないな。
なんてらしくないことをふと考えてしまう。
いやいや、部下だし。しかも指導中だし。
それに、俺は面倒くさくて、無駄に傷ついて、自分の気持ちに波を打たなきゃいけない恋愛なんかもうしない。
あの時そう決めたんだ。
俺はふと頭に思い浮かんだ過去の恋愛をスっと打ち消すと、俺の肩にもたれかかったマコを再び見た。
ったく。コイツが無防備すぎて変なこと思い出したじゃねーかよ。
結局、マコは全く起きる気配もなく。
俺は再び彼女をタクシーに乗せ、彼女の家まで送ることにした。