異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
「普通に考えまして、姫様のお世話が一番の重労働……」
アイーダの声と、ドレスをバサッと広げる音がかぶさった。
「え? なぁに?」
「……いえ、なんでもございません」
アイーダの目が言葉とは裏腹に、どことなく物言いたげな気もしたが、私はとりあえず、いつも通りドレスの真ん中に立った。
「さぁ姫様、ドレスを引き 上げますからバンザイしてくださいませ」
「はーい」
私はバンザイをしながら、この後の朝食に思いを馳せていた。
……やっぱり、オムライスがいいかも。……ううん、でもやっぱりハンバーグも捨てがたい……。
「いちにーの、さんっ!!」
気合の入ったかけ声と共に、アイーダがドレスを引き上げた。
「あ! いっそのこと、ハンバーグとオムライスのダブルだったりしないかなっ!」
「……姫様、ハンバーグとオムライスも結構でございますが、うしろのホックがもう限界でございます」
しばらくうしろで格闘し、やっとこさ留めつけたアイーダがボソリとつぶやく。
「え!? どっかに安全ピン、あったっけ?」
「……」
あきれたように言葉を失うアイーダを横目に、のんきな私の脳内は、あいかわらずおいしい朝食の妄想に忙しかった。
むふっ、むふふふふっ…じゅるり。