異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
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王宮侍従の案内で、豪奢な回廊を進む。今日は常とは異なり、王宮に入るとすぐにある 政務エリアは素通りした。
俺が目指すのは政務エリアのさらに奥、国王一家の居室エリア。
俺はこの日、国王夫妻からの私的な呼び出しを受け、王宮を訪れていた。
騎士団長という俺の職務上、陛下とは式典や議会で同席する機会が多い。祝賀の席では、夫妻と盃を交わし、打ち解けた会話もさせていただく。
しかし、私的な呼び出しというのは初めてのことだった。
居室 エリアをしばらく進んだところ、一際重厚な扉の前で、前を行く王宮侍従が立ち止まる。うしろに続く俺も、足を止めた。
コンッ、コンッ——。
「陛下、ライ・ザック騎士団長をお連れ——」
「おお、待っておったぞ! はよう通せ!」
王宮侍従がみなまで言い終わらないうち、陛下が返答をせる。
陛下の言葉を受けた王宮侍従は、表情の一つも変えずに、丁寧な所作で扉を引き開けた。