異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
侍従に促され、扉をくぐった。
「ライ・ザック、急に呼び立ててすまんかったな」
そうすれば、待ち構えていたようなすばやさで 陛下が俺に歩み寄る。
その半歩うしろには、ピッタリと王妃様が控えていた。しかしその表情は、常の柔和な笑みとは異なって硬い。
「陛下、王妃様、ご無沙汰しております。本日は——」
「ライ・ザック、今日は堅苦しいのはなしよ」
俺が通り一遍 の口上を披露するより前、王妃様が待ったをかける。
「実は私たち、どうしてもあなたに頼みたいことがあるのです」
続く王妃様の「頼みたいことがある」というのは半ば予想していた通りで、それ自体には別段驚くこともないのだが、王妃様の一言一句にこめられた気迫と熱量がすさまじい。
俺は静かに続く言葉を待った。しかし、思いつめた表情をした王妃様は、小さく唇を震わせるばかりで、なかなか言葉を発せらせずにいた。
「……ライ・ザック、わしらはそなたにマリーナを任せたい」