異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~

「ここでは言いにくい内容か? ならばこちらで聞こう」
 察したライが席を立ち、騎士を促す。
 そのままライと騎士は、皆がひしめき合って食事をする席から少し離れたところで、向き合って話し始めた。
 当然、私のところまで、ライと騎士の会話の内容は聞こえてこない。
「彼ってわりと偉い方の人だよね? あの感じだとなにか相談ごとかなぁ?」
 ライに話しかけてきた騎士のことは、これまでにも幾度か見かけたことがある。
 汗水がほとばしる騎士団にあって、やたら身なりに気を使うなよなよとした彼は、よくも悪くも目を引いた。
 騎士たちをまとめる立場にあるのだろう彼はいつだって糊の利いた綺麗な騎士服に身を包み、訓練中も高みから配下の騎士たちを叱咤するばかり。彼が騎士らと共に汗水流して鍛錬している姿など、一度として見たことがなかった。
 どころか、私は先日の雨降りに、彼が騎士服のズボンの裾を泥跳ねで汚し、盛大に眉をひそめながら着替えに戻る姿を目撃している。
 私としては、騎士服は日々の鍛錬で汗と汚れを染み込ませてこそ、その真価を発揮すると思っている。ピカピカの騎士服には、果たしてどれほどの意味があるのだろう。


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