異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~


 アイーダはそう言って口をつぐみ、私に対してそれ以上語ることをしなかった。
 だけどアイーダは口にしないだけで、彼をとても警戒しているのには 間違いなかった。
 なにより、長い付き合いのアイーダは、むやみやたらに人を疑ったりはしない。そのアイーダが警戒心をあらわにするのなら、それにはなんらかの根拠があってのことだとわかる。
「ねぇ——」
「マリーナ、俺は第二師団の師団長のところに行く用ができてしまった。食事の途中ですまんが、俺は先に出る」
 私がアイーダにさらに水を向けようと口を開きかけたところで、話を終えたライが戻ってきてこんなふうに言った。
「午後からの運動に変更はないから、予定通りにプールで集合だ」
「はい、わかりました」
 そうしてライは、ほとんど手つけずの状態の自分の皿を掴むと足早に返却口に向かう。そのまま厨房係に皿を返却するとすぐ 、足早に第二師団の方向に駆けていった。
 遠ざかるライの背中を見つめながら、私はやるせなさに唇を噛みしめた。


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