異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~

「マリーナ様、召し上がらないのですか? もしかして、フリットはお嫌いでしょうか? あなたのために、揚げたてを用意したのですが……」
 なかなか小鉢を受け取ろうとしない私を見つめ、リィがそれはそれは悲しそうにこぼす。
「いや、嫌いってわけじゃなくて……、むしろ……」
 私はしどろもどろに答える。ちなみにこの時、私の頭の中では天使と悪魔が舌戦を繰り広げていた。
 ……天使は言う。
『食べちゃ駄目! これまでがんばってきたダイエットを台なしにするつもり!? みんなの期待を裏切るの!?』
 ……久々に登場してきた悪魔が言う。
『フリットのひとつで期待を裏切るなんてオーバーな。それに人様からのいただき物を食べないなんて失礼! ……なによりきっと、おいしいよ?』
 う”っ!! 悪魔の最後のささやきの、その破壊力たるやすさまじい。耳にした瞬間、私の中の天秤が、ガコンッと悪魔の甘言に傾いた。
「リィ、ありがとう! フリットは大好物——」
「リィ・ヴァーウンドさま、お気持ちだけありがく頂戴いたします。フリットは姫様の大好物ではあるのですが、あいにくと姫様はエビにアレルギーがございまして、食べることができないのです」


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