異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
私がまさに小鉢に手をかけようとした瞬間、アイーダが横からピシャリと待ったをかけた。
アイーダの声にハッとして、私は小鉢に伸ばした手を引っ込めた。同時に、私の中の悪魔もスゥーッとどこかへ引っ込んだ。
……私、すっかりフリットの魅力に魅せられて、どうかしてた。『私はもう、減量から逃げない!』二週間前にした誓いが思い出された。
私をこちら側に引き止めてくれた救世主のアイーダを、目いっぱいの感謝を込めて見上げれば、アイーダもしっかりと私を見つめてうなずいた。
「……アレルギー?」
横から聞こえたつぶやきの、凍てつくような冷たさにゾクリとした。
驚いて隣のリィを仰ぎ見る。けれど、視界に飛び込んだリィは、先ほどのつぶやきとはまるで結びつかない穏やかな表情をしていた。
……あれ? やだ、私ってばなにか勘違いをしたみたい。
「せっかくくれたのに、食べられなくてごめんね。だけど、リィの気持ちはすごくうれしかった! ありがとう!」
「いえ、アレルギーでは仕方ありませんね。私はこれで失礼します、マリーナ様、また」