異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
「どうされました?」
感じたのはほんの小さな違和感。規則規律を遵守する騎士団は、整理整頓を旨としている。ゴミ箱の蓋が開きっぱなしというのはないことだった。
通りがかりに ゴミ箱の蓋を閉めるくらいは手間にもならない。
「いやね、ゴミ箱の蓋が空きっぱなしで……」
私はおもむろにゴミ箱に近寄っていった。そうして空いたままの蓋を閉めようとして、目に飛び込んだゴミ箱の惨状にギョッとした。
……え、なんで!?
ゴミ箱の中にはなんと、エビのフリットが陶器製の小鉢ごと、無造作に投げ入れられていた。
「ひどい。……なんで食べなかったのかは知らないけど、 そのまま分別をしないで捨てちゃ駄目だよ。いったい誰がこんなマナーの悪いことをしたんだろう。……アイーダ、これ持ってて?」
私は抱えていたランチボックスをアイーダにグイッと手渡すと、腕まくりをし、躊躇なくゴミ箱の中に手を突っ込んだ。
「姫様、私がやりますわ!」
うしろからアイーダが声をあげる。
「えー、なんで? 私がやるよ?」