異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
「ライ、なんで? どうして帰ってこないの? 私、ライがいないとがんばれないよ。だってライがいなくっちゃ、痩せて綺麗になる意味がないじゃない……」
ライの寝台に突っ伏してスンスン、スリスリすれば、なんだかライに包まれているような心地がした。
「すんっ、すんっ、……ぐすっ。……ライに、包まれる? そんなわけ、ないし」
だけどしばらくスンスン、スリスリした後、正気を取り戻した私は寝台からムクリと身を起こした。
寝具はしょせん、寝具。
万が一、そこからライの残り香がするとすれば、それは寝具に染み付いたライの寝汗だろう。
少なくとも無機質な寝具は、ライ本人ではあり得ない。ぬくもりを伝えることも、またしかり。
私はライの寝台を下りると、衝立を回り込み、自分のエリアに引っ込んだ。
この、イライラの持っていきどころをどうしよう……。ぐるぐると、限られたスペースの中を何周も歩き回る。
これまでの経験に即せば、こんなときはやけ食いをするに限る。
食べ物を貪れば、少なくともその瞬間はむしゃくしゃが治まることを、私は染み付いたかつての経験で知っていた。