異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
……やけ食い、しちゃう?
だってほら、最悪私が痩せなくたって、今ならお母さまの追放の心配もないし。お祖父ちゃんお祖母ちゃんも別段、困ることないし。
しばらくご無沙汰していた食への衝動が、うずうずと湧き上がった。
だけど、なけなしの理性が訴える。そんなことをしたら、帰って来たライが悲しむよ……。
私は唇を引き結び、ピタリと足を止めた。
「……ライを裏切っちゃ駄目! 私、食べない!」
拳を握り、宙に向かって叫んだ。
その時、ふと窓の外に広がる青空に気づく。いつもより早めに鍛錬を終えた今日の空は、まだ青い。
ライの目と同じ、優しい青……。
窓の外、どこまでも広がる空の青さが、キュウキュウとした心に訴える。
……冷静さを、失っちゃ駄目。いつだって広い心で構えていないと、焦りは視野を狭くする。焦れば、大事なところを見失ってしまう。
「……そうだよ。そもそも私は、空腹にイライラしてるんじゃなくて、ライがいないことが寂しくて、不安で、それでイライラしちゃってるんだ」