異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~


 私はどうやら、目先のイライラに捕らわれて、一番肝心なところを見落としていたらしい。
「なら! うじうじしてないで、私がライを迎えに行けばいいじゃない!!」
 私は取る物も取りあえず、外套をかぶると騎士宿舎を飛び出した。
 向かう先は、ライがいるプローテイン公国大使館だ!

 騎士団施設を出るまでに、幾人かの騎士とすれ違った。
「……なぁ、今のってマリーナ様じゃね?」
「はぁ、んなわけねーじゃん。マリーナ様が侍女も連れずにひとりで、あんな弾丸のように飛び出していくわけねーだろう」
「それもそうか。たしかに、あの機敏な動きは女性騎士の誰かか。俺きっと、なんか見間違えたんだな」
 けれどすっかり俊敏さを増した私の動きと、いまだ太めではあるが騎士団には筋肉ムキムキの女性騎士も多く在籍することが幸いした。これに頭からすっぽりと外套をかぶってしまえば、私は誰に見とがめられることもなく騎士団施設を出ることができた。



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