異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
私はひとり、重い足を引きずって帰路についた。 私が帰るのは、テンプーラ王国の王宮。
もう、減量は終わり。いや、もしかすればまた、気が向けばダイエットは再開するかもしれない。だけど少なくとも、ライとの減量は、もう終わり。
だから私が帰るのは、騎士宿舎じゃない。
強く自分に言い聞かせる。
「へへっ。……そっかぁ、ライは国でスラリとした長身に、キュッとくびれたウエストの王女様が待ってるんだね」
改めて、自分を見下ろす。
平均よりも小さな背丈に、平均よりも俄然多くの脂肪を蓄えた、ぽってりと重たい体がそこにはあった。
「……へへへっ。だいぶ、減ったと思ったんだけどなぁ」
おもむろに、なでなでしたお腹は、以前よりもずっと小ぶりになっている。 今ならおへそも、お肉には埋もれない。
だけどまだ、ぽてんとしたまぁるいそれは、ライが舌なめずりしちゃうキュッとくびれたウエストとはほど遠いシロモノだった。
「……うっ、うえっ、うぇえええっっ!!」
胸にぐるぐると、真っ黒にとぐろを巻くどす黒い感情。
もう、なにかにぶつけてしまわなければ、とても心の均衡を保つことなどできなかった。