異世界平和はどうやら私の体重がカギのようです~転生王女のゆるゆる減量計画!~
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祖国から、わざわざ俺を訪ねてやって来た旧友の呼び出しを、無下にはできなかった。仕方なく使者に続き、俺は旧友の待つプローテイン公国大使館に向かった。
かつての友は、現在プローテイン公国宰相として辣腕を振るっている。
けれど、三つ子の魂百まで。友の思考回路は相変わらずで、今でも友の思考はどこまでも目出度かった。
今さらどうして俺が、七面倒な王位などを望むと思うのか……。
しかも友は、己の提案が俺にとってよいことだと欠片も疑っていない。俺を慮ってのことだとわかってはいても、一昼夜にわたる熱のこもった説得には、さすがの俺も辟易した。
もちろんプローテイン公国の現宰相である友の提案は、一般論で言えばそう突飛な発言ではない。事実俺自身、十年前は叔父上を憎く思っていたし、王位継承権の放棄を多少なり苦く思っていた。王位へ返り咲く可能性も、捨てきれていなかった。
けれど友は、月日の流れが及ぼす変化を、はなから度外視している。俺が政変で国を追われてから、すでに十年もの年月が流れている。
移ろう時が、変えるものもある。
「とにかく、俺はプローテイン公国で王位に返り咲こうなど欠片も望んでいない」